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1.メンテナンスの種類
イタリアの建物のメンテナンスに関連する規則は、2001年大統領令第380号、 (Testo unico delle disposizioni legislative e regolamentari in materia edilizia)により 定められている。同令第3条第1項によるメンテナンスの種類・定義は以下の通り。


・通常メンテナンス(Interventi di manutenzione ordinaria)
“通常メンテナンスとは、建造物の有効性を補完し、維持するために必要とされる建物の修理・改修・取替え作業である”

例えば、電気設備の修理、水周りの修理、ランプの壁への取り付け、洗面台の追加設置などの作業が該当し、建物の原型を維持している限り窓やドアの取替え、防護ドアの設置なども通常メンテナンスとみなされる。

通常メンテナンスをおこなうに当たっては何の許可も必要とされないが、メンテナンスをおこなおうとする建物が、文化財監督局により管理されている場合には、監督局からの許可が必要となる。例えば、歴史的な建造物で壁にフレスコ画が描いてある場合、
その壁の上を塗り直すことはできない。


・特別メンテナンス(Interventi di manutenzione straordinaria)
“特別メンテナンスとは、建物における衛生面や設備面のサービス補完はもちろんのこと、建物の構造部分を含む改修・取替えに必要な作業である。不動産単体としての容積や面積に変化が出たり、不動産の使用目的に変更が出てはならない”

例えば、傾きかけている建造物の安定化を図るための補強、水道設備・電気設備・衛生設備の全体的な変更などが特別メンテナンスとみなされる。建物の輪郭・容積・面積・ 使用目的に変更が出る作業は、特別メンテナンスとはみなされない。例えば、バルコニーに屋根を付けてヴェランダにすることは、建物の輪郭を変えてしまうため、特別メンテナンスとはみなされず、改築とみなされる。

特別メンテナンスをおこなう際には、建物の所有者あるいは資格者により署名された メンテナンス開始宣言書を、市町村の担当箇所に提出し、事前に報告をおこなわなければならない。

2. アパートの専有部分メンテナンス費用負担
アパートの各部屋における通常メンテナンス及び特別メンテナンスに関しては、賃貸である場合に、その費用の所有者負担・間借人負担の場合分けは、普通下記の通り。

・通常メンテナンスの場合
双方の間で特別な合意が無い場合、例えば小さな修理(ランプの破損・温水循環式暖房器具の水漏れなど)については、間借人の負担となる。

・特別メンテナンスの場合
アパートを良い状態に保つことは、所有者の義務であり、特別メンテナンスにかかる費用については、所有者の負担となる。例えば、第三者により引き起こされた水漏れによるダメージや給湯器の修理は所有者負担となる。
3. アパートの共有部分メンテナンスまでの流れ
アパートの共有部分に対するメンテナンスが必要となった場合に、誰がメンテナンスの必要性を決めるのか、作業を始めるのに必要な事項は何か、等の問題についてはイタリア民法により規定されている。

・通常メンテナンスの場合
階段のランプを交換しなければならない、あるいは玄関口に置いてある椅子を交換しなければならない、等のケースにおいては、民法は複雑な手続きを取ることなく、アパートの管理人が、必要とされるメンテナンスを決めて良いことになっている。

・特別メンテナンスの場合
アパートの壁面を改修しなければならない、等の特別メンテナンスのケースにおいては、 共同所有者(Condomini)による集会(Assemblea)を召集し、半数以上の賛成者による決議が必要となる。
4. エレベーターのメンテナンス
1999年大統領令第162号15条により、エレベーターの所有者は、そのメンテナンスを 資格を持つ個人あるいは、メンテナンスを専門とする会社に任せることを義務とされている。それ以外の個人あるいは会社にメンテナンスを依頼することは、同令により禁止されている。
エレベーターのメンテナンスをおこなう個人・会社は次の2種類の作業を遂行しなければならない。

・メンテナンス事前検査
各部分の清掃・注油など以外に、扉やロックなどの主要部分の動作検査。

・メンテナンス
全体的な機能検査、各構成部分の有効性検査。
メンテナンス事前検査については、その頻度は定められていないが、メンテナンスについては最低でも6ヶ月に1回おこなわなければならない。イタリアで使用されている平均的なエレベーターの機能を考慮した場合、メンテナンスを含めた検査回数は一年間に8〜12 回がよいとされている。
5. 給湯器のメンテナンス
動作不良により、所有者のみならず廻りの人も事故に巻き込む恐れのある給湯器については、一定期間でのメンテナンスが義務付けられている。ごく最近になり、以下の通りメンテナンスに関する規定の変更がなされている。

・液体あるいは固体燃料を使用する給湯器は、2年毎のメンテナンス。

・ガス・メタン・GPLを使用する給湯器は、4年毎のメンテナンス。

・給湯器が100kw以上の出力である場合は、上記年数は半減する。
6. 公共施設のメンテナンス

公共施設のメンテナンスに関しては、2012年10月8日付けの経済・財政省令により、 2013年1月から新たな規則が制定されている。

この省令によると、毎年1月31日までに公共施設の管理者は、国有財産管理局に対して、 通常メンテナンスと特別メンテナンス別に、3年間のメンテナンス計画を報告しなければならない。国有財産管理局は、この報告を受けた後に施設管理費の抑制やエネルギーの 効率化などを考慮し、各施設管理者に対して通常メンテナンスと特別メンテナンスそれぞれに対する最大予算を通達する。

その後、インフラ・交通省は、公共事業局との協議により毎年5月15日までに国有財産管理局に対して、3年間のメンテナンス計画における優先順位を指示し、施設管理者により見積もりされた費用に対する認可をおこなう。
メンテナンスは、国有財産管理局主催の入札により指名された企業との契約に基づき、公共事業局の主導により実行されることになる。

2013年1月から、各公共施設に割り当てされていた予算の削減による財源を基に、通常メンテナンスと特別メンテナンス用の2つの基金が作られることになった。
国有財産管理局の発表によれば、当初としての基金額は3億ユーロ(約360億円)規模になるとのこと。

7. 公共施設のメンテナンス

イタリアには多数の歴史的文化財が存在しているが、その取り扱いについては、2004年1月22日付け政令第42号により規定されている。

主な条文を下記に挙げてみる。


・第1条第3項
国・州・大都市・県・市町村は、文化財の保存を保証・支持し、その有効利用に努める。

・第4条第1項
文化財の保護活動は、元よりその任務が州に委任されている場合を除き、文化財・文化活動省が一元的に任務を負う。

・第20条第1項
文化財は、破壊・損傷してはならない。また、その歴史的・芸術的性格にそぐわない
あるいは損害が予想される使用に供されてはならない。

・第21条第4項
文化財に対するあらゆる作業・工程は、文化財監督局の許可を必要とする。

・第22条第1項
公共あるいは民間所有の建築文化財に対する作業は、文化財監督局がその申請を受けた
日から120日以内に許可を発給する。

・第22条第2項
第1項の許可は、文化財監督局が、審理のために必要とする根拠を要求した場合、その必要書類が届くまでの間、発給が停止される。

・第27条第1項
文化財の損傷を防ぐ為に、絶対的な緊急が必要とされる場合には、文化財監督局への
届出をおこなえば、必要とされる作業をおこなうことができる。


*** コロッセオ(円形闘技場)の修復 ***
ローマにある世界的にも有名な歴史的文化遺産であるコロッセオに、建物の崩落や地盤の沈下などが見られるようになり、2012年12月より大規模な修復に入っている。ここ数年のイタリアにおける財政難は、歴史的文化財の修復などに充てられる予算の削減傾向に 向かっており、コロッセオの修復計画にも支障をきたしていたが、靴のイタリアメーカーとして世界的に有名なトッズ(TOD‘S)が2,500万ユーロ(約31億円)の資金提供を 申し出たことにより、修復計画が改善化されている。修復は、2015年半ばまでかかる予定。
8. 建物の数

イタリアにどれくらいの数の建物があるかについては、古い資料になってしまうが、ISTAT (イタリア国家統計局)による2001年資料があるので、参考までに記載する。

 
●建物の総数 12,812,528
 
●使用中の建物数 12,086,592
住居用 11,226,595
ホテル・事務所・商用 441,070
学校・病院・教会・他 418,927
 
未使用の建物数

725,936
41.1%が、建築・改築・改修中のため
58.9%が、建物の状態が悪いため
以上
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