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この報告書は、ACI(イタリア自動車クラブ)とCENSIS(イタリア社会投資研究所)が共同で発表した "移動方法が変化している三年間"という2011年度版レポートを主たる資料として作成されています。

(レポートの背景)
経済危機が深刻さを増すイタリアにおいて、イタリア人が移動手段として大好きな自家用車の使用に関して変化が起きており、特に燃料代の継続的な高騰は自家用車所有100人あたりで約26人が、車をガレージに置きっ放しにしている状況を作り出している。
また環境問題への取り組みが重要視される折、自家用車の使用が与える影響は大きい。  経済・環境問題が顕著化している2011年において、国民が自家用車の使用に対して実際にどのように考え、どのように行動しているかに関する調査をおこなった。

1. 移動の際の自家用車使用頻度
2011年においての対前年男女別自家用車使用頻度に関するアンケート結果。
  男性 女性 合計
以前と変わらない頻度で使用  71.9% 70.4% 71.1%
使用頻度を減らしている 19.4% 21.7% 20.6%
使用頻度を増やしている  8.7% 7.9% 8.3%

・ 使用頻度を増やした人の理由。
自家用車の必要性が変化した  68.6%
公共交通機関が必要性に適合していない  11.9%
住んでいる場所が移動先まで遠い  10.2%
住んでいる場所の公共交通機関が少ない  5.9%
駐車に問題がない  0.9%
その他 2.5%

・ 2009〜2011年における一週間の自家用車使用平均日数
  2009年 2010年 2011年
祝祭日を含む一週間あたり  4.9日 5.1日 4.6日

・ 2009〜2011年における一日の自家用車使用平均回数
  2009年 2010年 2011年
平日 3.4回 4.1回 3.2回
祝祭日 2.0回 2.1回 1.8回

・ 公共交通機関を利用しない理由(複数回答あり)
  2010年 2011年
目的地まで乗り換えが必要 34.8% 30.4%
停留所が家から遠すぎる 15.2% 23.0%
便が少ない 23.5% 25.2%
交通費が安くない 23.5% 11.0%
通勤時間帯に合う便が少ない 18.9% 18.6%
乗り心地が快適でない 30.9% 21.6%

アンケート結果を見る限りにおいては、2011年において自家用車の使用頻度を減らす傾向にあるのは確かであるが、元々車好きな国民性もあり、もっといろんな面でのサービスレベルの向上が図られないと、公共交通機関へ切り替える人は増えてこないと言える。

2. ガソリン価格上昇と自家用車の使用状況
・ガソリン価格上昇により自家用車の使用頻度を減らしたか
  2009年 2010年 2011年
使用頻度は変えていない  79.0% 73.4% 70.4%
使用頻度を減らしている 21.0% 26.6% 29.6%

・ ガソリン価格上昇への職業別対応策(自家用車に代えて何を利用するか)
  第一選択肢 第二選択肢
自営業者 公共交通機関 オートバイ
従業員 公共交通機関 オートバイ
臨時雇い 自家用車の共有 公共交通機関
学生 オートバイ 公共交通機関
無職 公共交通機関 自転車
年金生活者 徒歩 公共交通機関
主婦 徒歩 公共交通機関

 

3. カーシェアリング
統計資料は、自家用車を利用する人々の興味を少しづつ惹いていることを示している。

・ 2009〜2011年における一日の自家用車使用平均回数
  2009年 2010年 2011年
利用者数 17,993 19,123 29,894
利用可能自動車数 573 567 599
駐車場数 383 382 404
利用回数 137,789 155,788 171,067

また、下記のアンケート結果によれば自動車の購入を諦めても良いと思う理由になりうる要因として、車の共同利用、すなわちカーシェアリングに対する助成・奨励が第二位となっている。

・ 車の購入を諦める要因となるもの
どんな事があっても諦めない  59.1%
公共交通機関のサービス強化 19.2%
カーシェアリングへの助成・奨励  11.4%
古い車の廃車に対する3,000ユーロのボーナス 9.4%
相乗りタクシーの普及  6.1%
自転車レーンの強化  3.1%
自転車の廃車・新規購入に対するボーナス 3.0%
その他  0.3%

カーシェアリングについては、有用・快適・簡単・フレキシブル・経済的・クリーン、という利点により推進されてきているが、国民に広く知ってもらえる宣伝に現状欠けている。
実際、すでにカーシェアリングを利用している人がどのようにこのサービスを知ることとなったかについては、自分でインターネットで見つけた、友達から聞いた、というパターンが多い。都市部の自動車数を減らして、環境に良い社会を目指すためには1つの有効な手段であるため、そのサービスの優位性を高め、広く分かりやすく宣伝することが必要。

4. イタリアの自動車市場

以下の統計の通り、新車販売はこの3年間で減り続けている。

・ 新車登録台数
2009年 2010年 2011年
1,817,182台 1,692,510 1,508,932

また、以下の通り実際に運行されている自動車の使用年数がここ10年で増加している。

・ 自動車の使用年数別の割合
  2000年 2010年
0〜5年 34.3% 30.8%
6〜10年 27.7% 29.9%
11〜15年 21.8% 20.7%
16〜20年 7.9% 8.2%
20年以上 8.3% 10.5%

2011年時点で、次に車を購入する場合に新車と考えている人は、およそ三分の一程度しかいない。

・ 次回購入する際にどの車を選ぶか
新車 36.6%
中古車 9.9%
新古車 7.8%
わからない 45.7%

自動車1台あたりにかかる年間費用についても、2010年と比較した場合2011年は増加傾向にある。

・ 自動車一台あたりの年間費用(単位:ユーロ)
  2000年 2010年
燃料代 1,495 1,530
ガレージ及び駐車場代 207 218
高速代 185 188
罰金 100 108
印紙代 189 193
保険代 695 715
通常メンテナンス  165 140
臨時メンテナンス 118 128
その他 37 48
合計 3,191 3,278

費用の中では特に、燃料代に関して8割以上、保険代に関しては7割弱の大多数のイタリア人が不当に高いと考えている。

5. 事故関連
以下に、統計により明らかとなっている幾つかの現象を挙げてみる。

・ 夜間の事故は金曜日と土曜日の夜に集中している(約50%)
・ スピードの出しすぎと不注意が事故原因のトップ
・ 年齢別で、事故加害者としてのリスクが高いのは20〜24歳男性で、事故被害者としてリスクが高いのは74〜79歳女性(歩行者としての事故被害率が高い)

新車を購入した際の当該車種の安全性に関する情報については、

・ 100人中26人の女性は、何の調査も質問もしない。また、200人中34人の女性はディーラーからの情報をそのまま信用している
・ 100人中54人の男性は、専門誌を読んで情報収集をおこなう。また、100人中14人の男性は、その車の衝突テスト結果を気にしている。

事故原因として何が問題かという問いについては(複数回答あり)、

飲酒・ドラッグ摂取後の運転  71.4%
スピードの出し過ぎ 52.5%
不注意運転  21.5%
交通教育の不足 17.5%
罰金・罰則が軽すぎる 11.6%
道路の整備不足 6.1%
古い車の整備不足 2.2%
標識の不具合 2.2%

不注意運転の原因として問題と考えられる事項については(複数回答あり)、

携帯電話の使用  86.9%
オーディオ機器の使用 26.1%
車内での探し物 33.5%
地図を読む 21.3%
車内での喫煙  16.9%
ナビゲーターの使用 20.0%
ルームミラーの使用・調整 23.2%
車内での飲食 18.2%
広告看板を見る 6.3%
その他 0.2%
6. 身障者への配慮
アンケート結果は、免許を持っているイタリア人の身障者に対する配慮が充分ではないと報告書は記載している。

・ 身障者用の駐車場には自分の車を駐車しないか
決して駐車しない  90.5%
急いでいなければ駐車しない 4.7%
他に駐車し易い場所があれば駐車しない 3.7%
駐車場所がないので駐車する 1.0%
優先制度が正しいと思わないので駐車する  0.1%

・ 身障者用スロープ、通路を塞ぐ場所には駐車しないか
決して駐車しない  88.8%
急いでいなければ駐車しない  5.1%
他に駐車し易い場所があれば駐車しない  5.5%
駐車場所がないので駐車する 0.5%
優先制度が正しいと思わないので駐車する 0.1%

告書は、身障者と移動の自由という大きな課題に関して、イタリアでは他の国と比較して文化的に遅れており、市民としての義務感覚に欠けていると言及している。
7. 環境問題とエコカー
2011年におこなわれたある会社の調査によれば、メディアにより環境問題が大きく取り上げられているにも関わらず、イタリアで実際に運転されている自家用車のうちで電気自動車あるいはクリーンな代替エネルギーが使用されている車は、わずか4%のみであり、この数字は2009年と変わっていないとの結果となっている。

街中の大気汚染の約40%が自家用車が原因となっていることは良く知られた現在においては、持続可能なクリーンなエネルギーにより走行する車を選ぶことに消費者も大いなる関心を持っているが、実際にそれを実現できていないのが現状である。

持続可能なエコカーの普及を妨げている一番の原因は、その価格にある。平均で約3万5千ユーロ(約3百60万円)という値段は、決して安いものではない。

他の欧州諸国に比べても、持続可能なエコカーに対する助成金の支払いが非常に遅く、多くのエコカーが売れ残った状態となっている。現在エコカーを購入しているのは個人ではなく、公共団体あるいは会社となっている。

イタリアの州の中で、最もエコカーの普及率が高いのはエミリア・ロマーニャ州の7.35%であるが、これはパルマ県が電気自動車の購入者に対して6千ユーロ(約63万円)の特別助成金をきちんと出しているという影響が大きい。

持続可能なエコカーの普及を阻んでいるもう1つの理由は、代替エネルギーを供給する施設の不足である。大都市において実験的に供給網の導入が検討されてきたが、実現は簡単なものではなく、未達成のまま放置されている。

イタリア政府、あるいは各州が財政的にも政策的にも本格的に持続可能なエコカーの普及に努めない限り、いくら消費者(運転手)が環境問題の改善に貢献したいと願っていても、その普及率が大幅に改善されることは望めない。

以上
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