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1.飲料水の種類

イタリアでの飲料水を大まかに分類すると、以下の二種類となる。

● Acqua del rubinetto(蛇口の水 = 水道水)
● Acqua minerale (ミネラルウォーター)

(水道水を取り巻く環境)
 一般的にイタリアの水は硬水(カルシウムやマグネシウムの含有量が高い水)であると思われているが、サルデーニャ州やウンブリア州の水は軟水であるなど、州によって軟水・中硬水・硬水に分かれている。

人の飲料として用いることができる水については、2003年12月5日に発効となった Decreto Legislativo 2 febbraio 2001 n.31(2001年2月2日付け政令第31号)により規定されている。これは飲料に関する欧州指令98/83/CEに基づくものである。

上記政令によれば、"飲料水は、健康に適した清潔なものでなければならない。微生物や寄生虫、また人の健康に害となるようなその他物質は含まれていてはならない" と定義されている。
微生物学、化学、飲料水の供給方法等、人の健康を重要視した観点から、飲料水に含まれていても良い物質の最大量を規定している。飲料水は、二重のコントロールがおこなわれる。一つは、飲料水供給者による、内部的・定期的な検査であり、もう一つはASL(保健所)による外部検査である。


イタリアは世界的に見てもボトル入りミネラルウォーターの消費大国であるが、最近は水道水を飲もうという動きが広まりつつある。ボトル入りミネラルウォーターよりも水道水を推すグループの根拠として、以下の4つが挙げられている。

1. わざわざスーパーマーケットで重いボトルを買って、家まで運ぶ必要がない。蛇口を開ければ水は出る。

2. 1.5リットル入りミネラルウォーターが6本入ったセットは、平均で2.4ユーロ(約240円)するのに対して、同じ量の水道水は0,01ユーロ(1円)以下となる。水道水を飲めば大きな節約になる。

3. 水道水はその成分が適切・定期的に検査されており、安全な飲み物である。

4. ペットボトルは、その生産の為に石油や水を大量に消費しなければならず、水道水の方が環境に優しい飲み物である。

上に挙げられた4つの根拠において、4番目の環境問題に関するミネラルウォーターへの反発が一番大きな要因となっている。フィレンツェがあるトスカーナ州は、特に水道水を飲料水とする運動が強く進められており、2010年において150万人以上の州民が水道水を飲んでいるという結果となっており、これはトスカーナ州人口の約44%にあたる。(ちなみに、たまに水道水を飲む人が32%、絶対に飲まない人が24%)

トスカーナ州は、水道水推進のために水飲み場を数多く設置することもおこなっている。1つの水飲み場を設置するために1万〜1万5千ユーロ(約100万〜150万円)の費用をかけて、140以上を設置してきている。その結果、2010年には3千4百万リットルの水道水を供給し、2千2百万のプラスティックボトルを節約することとなった。
(水道水の実情)
 水道水供給元や一部の州において、水道水を飲料とすることを推進しているが、実際にイタリア全土の水道水が安全で高品質である、ということではない。
最近の調査において、複数の州において"飲料可能"とされている水道水から、法律の許容範囲を超える砒素が検出されている。およそ10万人の住民が、危険に晒されていることとなる。


欧州委員会によれば、飲料水として1リットル当たりに許容される砒素の量は20マイクログラムであり、それ以上の量が含まれる場合には、ガンの原因になる恐れがあるとしている。それにもかかわらず、イタリアは広範囲に渡る砒素汚染により、50マイクログラムまで許容量を上げることを欧州委員会に要求したが、却下された。

2010年には、砒素の含有量が多いために、飲料にすることはもちろん、調理用に使うことも禁止された市町村が127件公表されている。場所的には、ラッチオ州の91市町村が最も多く、トスカーナの19市町村、ロンバルディアの8市町村などが続いている。

砒素だけではなく、ホウ素やフッ素の含有率が高いために、3歳以下の幼児に飲料として与えることが推奨されない市町村や、14歳以下の子供には水道水を飲ませることを禁止している市町村がある。

欧州委員会の安全基準が高過ぎるという意見が、一部の水道水供給元などから上がっているようであるが、従わなければ欧州裁判所において負けるだけであり、安全基準を守っていくしかない。
(水道水の用途)
 イタリアに居住している日本人の一般的な水道水の使い分けは以下のようになる。

・ 水道水の直接利用
 風呂・洗顔・歯磨き・米研ぎ・野菜洗い等


・ 水道水を濾過後使用
 米炊き・インスタントラーメン・パスタの茹で湯等

(濾過器具の1つ。クロム、鉛などの有害成分の除去のほか、石灰分の除去や匂いを減少させる)
 
飲料水については、水道水は飲まない。ペットボトル入りミネラルウォーターを購入。
(ミネラルウォーターの消費状況)
 前述した通り、イタリアはペットボトル入りミネラルウォーターの消費大国である。ここ10年でイタリアにおけるミネラルウォーターの生産量は、61億リットルから91億5千万リットルにまで増加している。これは、業界全体で25億ユーロ(約2千5百億円)の売り上げにあたり、イタリアの一家族あたりが年間におよそ300ユーロをミネラルウォーターに使っていることとなる。

イタリア人の約半数は、水道水を飲むよりもミネラルウォーターを飲むことを好むと言われており、一日に一人当たり0.5リットルが消費される。現在、イタリアでは200近い会社が、250種類以上のミネラルウォーターを生産している。

(ミネラルウォーターの例)
(ミネラルウォーターの種類)
ミネラルウォーターには、以下のような種類がある。

・ Acque minerali minimamente mineralizzate(微量のミネラル添加された水)
ミネラル分が、1リットル当たり50ミリグラム未満含まれる。イタリアのミネラルウォーター市場において、約9%を占めている。粉ミルクを溶かす等には適しているが、大人が飲むには軽すぎる。


・ Acque oligominerali o leggermente mineralizzate(少量のミネラル添加された水)
ミネラル分が、1リットル当たり50ミリグラム以上500ミリグラム未満含まれる。イタリアのミネラルウォーター市場において、約半分を占めている。腎臓結石の予防に効果があるとされている。


・ Acque mineralizzate(多量のミネラル添加された水)
1リットル当たり1,500ミリグラムまでのミネラル分を含有する水。ミネラル分の含有量は、水道水に近い。


その他の分類としては、ガス入り(天然に含まれている炭酸あるいは後で炭酸を入れたもの)とガスなし(炭酸抜き)の種類がある。
(ミネラルウォーターのラベル)

ミネラルウォーターに添付されるべきラベルには、下記内容の記載が必要。

・ 生産ロット番号と生産日
・ 商品名
・ 内容量
・ 主要成分
・ 細菌分析結果
・ 化学分析結果
・ ミネラルウォーターの種類
・ 販売承認番号
・ 自然分解されないことの表示
・ バーコード


(ラベル例)
(ミネラルウォーターの安全管理)

 ミネラルウォーターの販売は、衛生省の承認後に可能となり、法律が月ごとあるいは15日ごとの生産工場検査を義務付けている。(検査はASL(保健所)に一任)水源についても言えって期間ごとに検査が入り、ラベルは5年ごとに更新する必要がある。

厳しい検査があるとは言え、毎日検査されている水道水に比べると、ボトル入りミネラルウォーターは、安全面で優っているとは言えない。

(ミネラルウォーター選択の基準)
何種類もあるミネラルウォーターの選択方法が紹介されていたので、参考までに以下の通り記載する。

・ 広く宣伝されているもの、あるいは値段の高いものが最良ではない。広告宣伝費が販売価格の半分を占めることを念頭に置くべき。

・ ラベルを良く見ること。1リットル当たりのミネラル含有量が、500〜800ミリグラムのものが、一般的家庭の飲料水に最も適している。製品化された日を調べて、最も新しいものを選ぶこと。

・ 一般的に、ペットボトルよりガラス瓶入りが好ましく、ガス入りよりガスなしの方が好ましい。ガス入りの水は酸性度が高く、我々が摂る食事は既に酸性度が高い。

・ 6本入りの完全に包装されたものを購入するべき。戸外で日光に晒された場所に保管をしているような販売業者からは購入しないこと。
(ペットボトルの環境への影響)
 2006年度の調査によれば、ペットボトルの生産に35万トンのポリエチレン・テレフタラート(PET)が使用され、そのための石油の消費量が66万5千トン、二酸化炭素の排出量が91万トンとなっている。ペットボトル入りミネラルウォーターの18%のみ列車での輸送であり、82%がトラック輸送となっているため、輸送時の排ガスが環境に及ぼす影響も少なくない。また、市場に出回ったペットボトルのうち、わずかに三分の一だけがきちんとゴミ分別されて回収され、リサイクルに廻っているに過ぎないことも問題となっている。

環境問題への取り組みが強化されている現在においては、水道水を飲料水とする動きが強まっているのは必然であると言える。
(ミネラルウォーターの宣伝)
 ミネラルウォーターがイタリア人に好まれている理由は、水道水の安全性問題のほかに大々的に広告宣伝されている事実によることが大きい。一年間のイタリアにおけるミネラルウォーターの広告宣伝費は3億7千万ユーロ(370億円)に上ると言われており、人々には水道水よりも安全であるかのような印象を与えている。

しかしながら、実際には水道水は供給事業者及び監督者(保健所)の双方により厳しく検査が実施されている。例えばミラノだけで、年間に実施される水質分析は2万1千件になっている。
(総括)
 ペットボトル入りミネラルウォーターの消費大国であるイタリアが、いきなり水道水を飲み出すようになるとは思えない。まずは、水道水の浄化を向上させ、欧州基準を下回る数値にて供給する必要があり、安全性が完全に証明され、広く人々に宣伝させるか、あるいは一部の州で行っているように、州政府関係の事務所においてはペットボトル入りのミネラルウォーターの購買を禁じるなどといった、強い働きかけがない限りミネラルウォーターの消費が激減することはないと考えられる。

一方、ペットボトルのリサイクルのためのゴミ分別も適正に実施されているとは言えず、いたずらに水道水への移行を訴えるだけではなく、現在の状況を良くさせる政策が徹底されなければならない。
以上
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