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 当該報告書については、2003年11月にイタリア国家統計局(ISTAT−Istituto Nazionale di Statistica)により、1万9千家族(個別では4万9千人)以上を対象に 実施された "家族と社会観念" に関する意識調査結果の一部について "家族構成と家族及び子供に関しての意見" としてISTATのホームページ上に開示されており、統計数字については、その内容に基づいて作成されている。
なお、調査対象者の年齢は、18〜49歳。
1.結婚と同棲
 結婚は、すぐれた制度であるという意見に回答者の半数以上(53.9%)が、否定的である。 男女別では、女性の57.7%、男性の50.1%が否定的な回答。 一方、結婚がすぐれた制度であると答えた比率は、女性で16.5%、男性で20.5%。

同棲については男性の60.4%、女性の57.1%、全体的には58.7%の人が、カップルが生活していく上での一つの可能性として肯定的に考慮している。 
また、この傾向は特に若い人の間で強い。 (18〜24歳の男性の65.9%、女性の60.4% 及び25〜34歳の男性の61.7%、女性の58.8%が肯定的)
地域的に見た場合には、イタリア北部でその傾向が強く、三分の二以上の回答者が、同棲は結婚の予定がなくとも賛同できるとの回答。
同棲に否定的な回答は19.9%に過ぎず、イタリア南部に集中している。
(南部の31.6%が同棲に否定的、特にカラブリア州35.2%、プーリア州33.7%)

同棲が、家族生活の形態の一つとして大多数に受け入れられているのは、イタリアにおける自由な結び付きという観念の拡大と無縁ではない。

2. 離婚
 子供がすでにいる場合においても、不幸な結婚を解消するために離婚に肯定的な人は、女性の71.1%、男性の66.2%にのぼる。 
この傾向は島に住む人々に顕著で、72.4%の人々が肯定的。
離婚に否定的な人は10%に過ぎず、イタリア南部での割合が高い。
(南部の12.2%が否定的で、特にアブルッツォ州とバジリカータ州で、16.1%)

離婚の際に、母親に子供を預けることについて賛成の人は、全体の三分の一だけであり、女性の38%、男性の28.8%が賛成。 地域別では、イタリア南部が40%以上と最も賛成比率が高く、中北部では30%に達していない。

母親のほうに子供を預けることに対しての賛成が少ないとは言え、回答者のおよそ半数が、意思表示が困難であったようで、男性の48.9%、女性の44.9%が賛成でも反対でもないとの回答となっている。

女性が安定した同居人なしで子供を育てることについては、賛成者は全体の三分の一に少し満たない程度で、女性の33.2%、男性の29.7%が賛成。
反対者は43.4%に達し、特にプーリア州・カラブリア州・シチリア州は50%を越える。

3.女性の家事
 家事が賃金報酬を与えられる労働と同じ満足感を女性に与えるか、という質問に対しては、肯定が22.7%のみで、女性が20.7%、男性が24.6%。
肯定的な回答が多い地域は、南部の25.3%と北部の21%。
回答者の半数以上である53.2%が否定的であり、男性の39.6%、女性の28.7%が
どちらとも言えないとしている。

老いた両親の面倒を見ることが必要になった場合に、息子(男性)よりも娘(女性)が、面倒を見るべきか、という質問には、20%以下の肯定意見しかない。
女性の半数及び男性の43.4%が、反対意見となっている。
地域別に見た場合には、イタリア南部では肯定的な回答が多く(四分の一以上)、中部・北部では半数以上が、親子間のこの介護形態に反対となっている。

4.若年層の同居
 イタリアでは近年若年層の親との同居期間が長くなってきている。
今回の意識調査においても、成年になったら親の家から外に出るべき、という慣習に対して賛同しているのは、わすかに全体の17.9%という結果。
注目すべきは、母親の世代を代表する45〜49歳の女性の反対が特に強く、同じ年齢層の男性49.9%の反対に対して、59.6%が反対している。
実際、この年齢層の女性は息子であれば25.8歳、娘の場合には25.2歳ぐらいに親元から離れるのが正しいと回答している。 他方、同じ年齢層の男性は、もう少し早く、息子25.1歳、娘24.6歳頃に家を出るのが正しいと考えている。

18〜19歳で、親と同居している年齢層は、息子25歳、娘24.5歳で、家を出るのが正しいと回答しており、同じように20歳〜24歳の年齢層で親と同居している人も、巣立ちするのに適した年齢を延長する傾向にあり、息子26歳、娘25.4歳が正しい年齢であると回答している。

成年(18〜20歳)になったら、親元から離れるべき、という慣習に賛成が多いのは、イタリア南部で、北西部の15.6%に対しておよそ20%が賛成している。

18〜39歳の年齢層で、親と同居している半数以上(55.2%)が、この意識調査後の3年以内に家を出るつもりはないと回答しており、女性のほうが男性よりも家を出たいと考えている(女性48.6%、男性42%)。

18〜24歳の若い年齢層で、できるだけ早く家を出る意思があるのは、31.6%に過ぎず、25〜29歳の年齢層では、女性の66.8%、男性の53%が早く家を出たいと考えている。

親元を離れる主たる理由になるであろうと回答されたのが、

● 結婚(41.7%)
● 自立の必要性(24.6%)
● 仕事(18.3%)
● 同棲(12%) 

特に女性は、結婚が家を出る理由になると回答した人が多く、男性の38.1%に対して45.8%にのぼり、他方、男性比率が高いのは、仕事(男性21.7%、女性14.4%)及び自立の必要性(男性25.5%、女性23.5%)となっている。

地方別では、南部の回答者の半数以上が、結婚が家を出る最も大きな理由と考えられており、北部では自立の必要性という理由が三分の一以上、仕事を理由にした比率が最も高いのは島の居住者となっている。

同棲については、家を出る主たる理由として北東部の22.2%が考慮しているのに対して、南部ではわずか1.9%の人にしか考慮されていない。

5.親離れによるプラス面・マイナス面

 18〜39歳の年齢層の51.6%が、家から出ることは個人としての自立にプラスになると回答しているが、生活するうえでの満足感や楽しみにとって家を出ることは良いのか悪いのか、という問に対しては、回答者の三分の一をわずかに上回る程度しか良いと回答していない。

若年層の大部分(81.4%)は、家を出ることで仕事に就く機会に変化があるとは考えておらず、42.7%は逆に家を出ることで、経済的に厳しくなると考えている。
一般的傾向として、若者は家を出ることのプラス面について、住む場所による違いと結びつけて強調しており、実際イタリア南部や島に住む者は、家を出て他の地域に住むことにより、経済的な改善(南部及び島の住人の20%以上、中部、北部では10%以下)、就業機会の増加(約20%、北部では1.8%)、生活上の楽しみや満足感の改善(南部40.3%、島37.1%、中部では27.9%)が期待できると回答している。

若年層にとって親元から離れる理由で重要なポイントは、経済的状況と仕事面での改善であり、半数以上(経済的状況56%、仕事面52.4%)がこの二つのポイントが大切であると回答している。

6.子供

 ここ数年、イタリアは世界で最も出生率の低い国の一つであり、望ましい子供数の平均が2.1人であるのに、実際は1.3人(2003年統計)となっている。
また、この出生率はイタリアの地域別に見ても大きな違いはない。

今回の意識調査において、4人に一人が調査後3年以内に子供を持つ予定であると回答しているが、もちろんこれは回答者の年齢層によるところが大きい。
25歳以下ではわずかに女性の18.6%、男性の6%が子供を持つ準備ができていると回答しているのに対して、25〜29歳女性の53.1%、30〜34歳男性の51.7%が準備ができていると回答している。
35歳以上になると、女性よりも男性の方が、すぐに子供を持ちたいと回答している。

今回の意識調査後3年以内に子供を持つという前提に対して、既にカップルとなっている人は、51.1%が経済的悪化、46%がやりたい事ができなくなる、34.5%が就業機会の悪化、を懸念している。

子供を持つことによる就業機会の悪化については、男性の19.7%に対して女性の46.9%が懸念しているが、男性も39.7%が女性パートナーの就業の妨げになるであろうと回答している。 他方、大多数の女性は子供を持つことによる男性パートナーの就業機会の悪化はないと考えている。

こういった懸念事項をあげている一方で、カップルの60%以上が子供を持つことは、生活から得る楽しみや満足感を増し、35.5%がお互いを近づけることに役立つと回答している。 しかし他方、多数のカップルは、子供を持つことが彼らを取り巻く人々の意見に重要な変化は与えない(75.9%)、両親との距離を近づけない(68.1%)、人生に確固たるものは与えない(60.3%)と考えている。

7. その他統計資料
A. 一家庭あたりの人数
  1988 1994 1998 2003
一人 19.3% 21.1% 21.7% 25.8%
二人 23.6% 25.3% 26.1% 26.4%
三人 23.1% 23.2% 23.4% 21.7%
四人 23.3% 21.6% 21.1% 19.6%
五人 7.9% 6.5% 5.9% 5.2%
六人以上 2.9% 2.2% 1.8% 1.2%
● 一人っ子の割合は、増加傾向にある
B. 家族形態
  1988 1994 1998 2003
非核家族
(一人暮らし)
20.7%
19.3%
22.9%
21.1%
23.6%
21.7%
27.4%
25.8%
核家族 78.1% 75.8% 75.2% 71.4%
大家族 1.2% 1.3%  1.2% 1.2%
● 核家族の割合が減っているのは、一人暮らし比率の増加のため
C. カップルあたりの子供数
1988 1994 1998 2003
一人 41.2% 43.8% 45.2% 45.1%
二人 42.6% 42.5% 42.7% 43.8%
三人 12.4% 11.0% 10.0% 9.5%
四人以上 3.7% 2.7% 2.1% 1.6%
D. 2003年度における一人暮らしの人数(年齢・男女別)
  男性 女性 合計
25歳以下  46,000人 44,000人 90,000人
25〜44歳 856,000人 541,000人 1,397,000人
45〜64歳 587,000人 670,000人 1,257,000人
65歳以上 595,000人 2,431,000人  3,026,000人
● 65歳以上女性の一人暮らしが最も多いが、違う統計によれば死別が理由による割合が高い。 また、25歳以下の一人暮らしは1994年と比較すると減少傾向
E. 2003年現在18〜34歳で、親と同居している理由 (複数回答あり)
18〜19 20〜24 25〜29 30〜34
● 勉強中 64.6% 39.5% 20.2% 7.9%
● 自由で快適 31.6% 38.6% 43.3% 48.3%
● 出る気がない 5.5% 10.2% 13.0% 12.4%
● 出ると多くのことを諦めなければならない 8.0% 8.3% 7.3% 8.2%
● 仕事がない 12.6% 15.7% 17.2% 17.5%
● 家賃が払えない 19.3% 23.5% 26.6% 25.1%
● 親が残念がる 11.3% 10.3% 8.8% 8.7%
● 親が必要としている 2.3% 2.8% 3.9% 6.9%
● その他 2.2% 2.9% 5.5% 7.6%
8.第二次大戦後における家族形態の変化

イタリア人家族は、戦後から今日に至るまで、良い意味でも悪い意味でも大きく変化してきている。 どんな事項がこの大きな変化をもたらしたかについて書き出してみる。

● 産業構造の変化
多くの人手が必要な農業時代には、素朴な家長制のもとで一つ屋根の下に、両親・祖父母・子供・孫が住む大家族は珍しくなかったが、工業化により大家族制は衰退していった。

● カトリック教
1950年代においては、信心深いカトリック教徒が多く、クリスチャンとしてのモラルに従っていた。 従って、婚外交渉は不可であり、一度結婚すれば生涯の結び付きとされ、離婚は当時のメンタリティーからも法律からも、考慮されなかった。
1970年に法律により離婚が認められるようになり、片親のみの核家族化が進む要因となっている。また、クリスチャンとしての信仰心が弱まるに従い、同棲という 選択肢に肯定的な人が増加している。

● 女性の社会進出
戦後の家族においては、父親が働き家族を養うお金を稼ぎ、母親は家事と子供の面倒を見るという形が一般的であったが、女性の社会的な地位の向上により、
仕事を持つ人が増え、両親とも働いているという家族が珍しくなくなった。
仕事を持つ女性の増加により、女性が結婚する年齢や家を出る年齢が高くなり、出生数の減少にも繋がっている。

● 結婚・子供に対する価値観の変化
現在の特に若い人達にとっては、結婚や家族が理想的な人生を体現するものではないと考えている。面倒なことを考えるよりは、お金のかからない実家に長く居る
ことを好むようになってきている。
また、既に結婚や同棲をしているカップルは、子供は二人の人生にとって基本的なものではないと認識する人々が増えている。
こういったカップルは、子供を持つよりもお金がかからず、面倒がかからない事を優先している。

以上

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